2024年11月17日、兵庫県知事選で斎藤元彦氏が再選されました。
パワハラ問題、部下が亡くなったことに対する心無い言葉、おねだり問題などが問題視されての知事選であったため、斉藤元彦氏不利と思われる中でしたが、徐々に兵庫県政の闇のようなものが出てきて世論が一転。
兵庫県民がきちんと事実を見定めだ上で斉藤元彦氏を選んだと一段落したかと思えたところだったのに、今度は公職選挙法違反が指摘されています。
11月20日、選挙広報担当を名乗るPR会社merchuの社長・折田楓さんが自身のnoteに「兵庫県知事選における戦略的広報」というタイトルで投稿した記事が公職選挙法違反を自白していると話題になっています。
一方の斉藤元彦氏は「法に抵触する事実はない」とコメント。
代理人弁護士も「SNS戦略の企画立案などについて依頼をしたというのは事実ではありません。あくまでポスター制作等法で認められたものであり相当な対価をお支払いしております。公職選挙法に抵触する事実はございません」と断言しています。
それでも収まらないこの騒動では、いったい何が問題になっているのでしょうか。
折田楓の削除前のnote要点と魚拓
2024年11月17日、兵庫県知事選挙にて、斎藤元彦さんの当選が決まりました。心よりお祝い申し上げます。前代未聞の歴史的な選挙が無事に終わった今、「SNS」という言葉が一人歩きしてしまっているので、斎藤陣営で広報全般を任せていただいていた立場として、まとめを残しておきたいと思います。
折田楓note
折田楓さんの該当noteはこのような始まりで、斉藤元彦氏が事務所を訪れたときから打ち合わせの様子、提案内容などを画像を交えて長々と記しています。
恐らく折田楓さん本人は不利だった斉藤元彦氏が再選されたのは自分のSNS戦略が効果的だったから、という自慢の気持ちと、今後の仕事に繋げたいという思いからまとめたんだと思われるのですが、これって公職選挙法違反の自白じゃない?と言われるような部分がそこここに散りばめられていました。
話題になった結果、折田楓さんは一部編集していますが、そんなやばい内容の一例です。
SNS戦略が折田楓の提案だったことをアピール
「(今回選挙は)新たな広報戦略の策定、中でも、SNSなどのデジタルツールの戦略的な活用が必須でした」との記述と、折田楓さんと斎藤氏、斎藤氏の参謀らしき男性ら4人が、プレゼン資料の表紙が映し出された画面を見ている写真があります。
そして、「ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました。(後に削除)」と、斉藤元彦氏が折田楓さんの提案に乗ったと明記しています。
ポスター以外の作業も折田楓が行ったことをアピール
また、提案資料の一部を公開しつつ、斎藤氏の写真撮影からキャッチコピーの変更、ポスター、政策スライドの作成などを行い、SNS戦略ではX、インスタ、Youtubeなど4つのアカウントを折田楓さん本人が総括していたことを強調。
「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成、コンテンツ企画、文章フォーマット設計、情報選定、校正・推敲フローの確立、ファクトチェック体制の強化、プライバシーへの配慮などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました。写真および動画の撮影については、現地で対応してくださっているスタッフの方々にお願いすることをベースに、私自身も現場に出て撮影やライブ配信を行うこともありました」
折田楓note
さらにライブ配信だってやったよ!とアピールしています。
「選挙カーの上から臨場感を届けるためのライブ配信中」というコメントとともに公開されているのがこちらの画像。
ちゃんと、右下に自分も写ってる画像をあげてるんですね。。
弁護士さんが言っているポスター撮影等の「等」っていったい。
ボランティアじゃなくて仕事アピール
「そのような仕事を、東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けたということもアピールしておきたいです。」
「私は政界に進出するつもりは全くありません。また、特定の団体・個人やものを支援する意図もなく、株式会社merchuの社長として社会に貢献できるよう日々全力で走り続けたいと思っています。」
折田楓note
これはつまり、無償のボランティアではなく有償の仕事だったと明言していることに。
折田楓さんもマズさに気づいたのか、「ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました」など一部を削除していますが、世の中には魚拓というものがあるんですよね。。
魚拓がこちら→兵庫県知事選挙における戦略的広報:「#さいとう元知事がんばれ」を「#さいとう元彦知事がんばれ」に
SNS戦略のプロですから当然知ってると思いますけども。
無償でも有償でもアウトな理由
有償だった場合は公職選挙法違反
公職選挙法では、選挙活動で報酬を支払うことができるのは事務員や車上運転員などに限られています。
また、総務省のホームページには以下のような記述があります。
「インターネットを利用した選挙運動を行った者に、その選挙運動の対価として報酬を支払った場合には買収罪の適用があります。」
「買収罪の刑に処せられた者が、総括主宰者、出納責任者、地域主宰者、親族、秘書又は組織的選挙運動管理者等に当たることが連座裁判等により確定した場合(親族、秘書及び組織的選挙運動管理者等については禁錮刑以上の場合のみ)には、公職の候補者本人に連座制が適用され、当選無効や立候補制限が課せられることとなります」
「広報戦略の企画立案もさることながら、応援アカウントに期日前投票を呼びかけた一件は完全にアウト。投票呼びかけについては、どの選挙かを特定し、候補者を名指しし『投票しましょう』と明示すると選挙運動と捉えられる。選挙運動ができるのは、基本的に候補者本人と無償のボランティアだけ。報酬を払えば、当然ながら買収になる。よくぞ、あんな危険な記事を投稿したものだと思いますね」(ある選挙プランナー)
日刊ゲンダイ
折田楓さんがnoteで明かした中には選挙活動前の10月1日からの予定が書かれていました。
選挙期間は10月31日からでしたから、それが事実なら選挙の事前運動にもなりえます。
本当に何を考えていたのやら。
無償だった場合も公職選挙法違反と寄付行為でダメ
ならば無償だったと主張すればいいんじゃない?となりますが、その場合も2つの理由でダメなんだとか。
斉藤元彦氏の応援投稿で、折田楓さんは社員もサクラとして登場させていること、「少数精鋭チーム」で作業をしていたこと明言していること、そして株式会社merchuが公共事業請負業者であることが問題になります。
経営者(折田氏)が特定の候補(斎藤氏)を当選させる目的で、社員に選挙運動を指示し、所定の給与を支払えば、折田氏が公選法違反の買収に抵触しかねない。仕事ぶりから「組織的選挙運動管理者等」とみなされると連座制が適用され、斎藤氏の当選も無効となる。
また、折田氏は兵庫県の「地域創生戦略」「eスポーツ検討」「次世代空モビリティ」と少なくとも3つの有識者会議の委員を有償で務め、閉鎖されたmerchuのHPのクライアント欄には「兵庫県企画部」とあった。労務の無償提供は「寄付行為」とみなされかねず、公選法は公共事業受注企業の選挙に関する寄付を禁じている。
ゲンダイネット
折田楓さんはnoteの株式会社merchuの実績として書いてあった「兵庫県の公共事業を受注」を削除しています。
一般人にはそれでわかりづらくなったとしても調べればすぐわかっちゃいますよね。
しかしnoteであれだけ「仕事!」「私がやった!」とアピールしては無償も厳しいと思うのですが。
お咎めナシだったとしても、こんなに口の軽くて常識のない人に仕事を頼めるでしょうか?
折田楓さんは1991年生まれの現在32歳。
慶應卒でフランスのメガバンクで仕事して、母親の仕事の手伝いから独立して、という若きエリートでしたが、さて、どうなるでしょうか。
※自己顕示欲は落とし穴の一つ
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