パリ五輪柔道60キロ級の準決勝試合、永山竜樹選手とスペインのフランシスコ・ガリゴス選手の誤審騒動が話題になっています。
明らかな誤審に日本では永山竜樹選手を擁護する声が溢れていますが、海外ではどういう反応があるのでしょうか。
永山竜樹とフランシスコ・ガルリゴス戦の不可解判定概要
焦点になっているのは、審判員から「待て」がかかった後も、フランシスコ・ガリゴス選手が6秒間、永山竜樹選手を絞め続けた疑惑です。
結果、一本負けとなってしまい、永山竜樹選手は相手選手と握手せず、しばらく畳に残り抗議の意思を示しました。
永山竜樹コメント
「(『待て』は聞こえていたか?)聞こえてたんですけど」
「やっぱり、そこで自分が気を抜いてしまったので…。自分は、首が締まってるところに指を入れて耐えてたんですけど『待て』で力をちょっと抜いたところに、入られてしまって。そこから、ちょっと記憶がないんですけど。でも『待て』の後も耐えてたんですけど、しっかり『待て』になるまでが結構、長くて。気づいたら、ああいう形になってしまって…。正直、何が起きたか分かっていなくて。『待て』がかかったのは覚えてたんで、おかしいなとは思ってたんですけど、でも、そう言われてしまった自分に隙があったのかな」
フランシスコガリゴスコメント
「待ては(騒音で)聞こえなかった」
「彼(永山)は結果には納得していないように見えたよ。文句を言うのは自由だけど、審判の決定は絶対だからね」
「(握手を拒否されたことについて)彼は怒っていた。もちろん金メダルを獲りたいと思っていただろうから」
審判(鈴木桂治監督の話より)
審判団の説明として「まず落ちたよね?どうだそれは」と言われたことを明かし、鈴木監督が「あの時間のトータルでみたら、落ちてたと思う」と返すと、審判側は笑いながら「だよね」という感じだったという。「僕らが言ってるのは落ちたか落ちてないかではなく、『待て』と言われた後の6秒間に絞め続けることが柔道精神に則ってますか?と。今、国際柔道連盟は怪我とか柔道精神みたいなものをすごく厳しくとっているのに。あの『待て』は間違いだったとは認めました。あれは『待て』を出すべきではなかったと。審判のいう『待て』って神の声の場合もあれば、悪魔の声の場合もある。あの『待て』は間違いだった、絞めは継続されていたといわれたら終わりなんですよ」と憤りを示しながら、「悪魔の6秒間、あってはいけないこと」
デイリースポーツ
永山竜樹・フランシスコガルリゴス戦への海外の反応
開催国フランス、フランシスコガルリゴス選手の母国スペイン、一応アメリカでの反応をざっとまとめると、
<スペイン>
メディアではフランシスコガリゴス選手の勝利が大きく報じられています。ガリゴス選手が「待て」の後に攻撃を緩めなかったことに対し永山竜樹選手が不満を持っていた、ということは報じています。でも、試合が終わったんだからきちんと挨拶するのがスポーツマンシップだろうと、その点ガリゴスが上で永山竜樹は未熟だと、そういう論調です。
SNSでは、ガリゴス選手の行動に対し非難の声もあります。でも、ガリゴス選手のスポーツマンシップを称賛し、握手に応えなかった永山竜樹選手に対し「マナーを知らないのか」「お家芸を取られるのが嫌なのか?」等々過激な声も。
非難が殺到しているのはこちらですね。
フランス
フランスでは、永山竜樹が試合後に見せた抗議の行動が話題となりました。この行動には観客から賛否両論となっています。
アメリカ
アメリカのメディアでは、試合そのものよりも両選手の技術と戦術に焦点が当てられました。フランシスコガルリゴス選手が技術的に優位だったこと、永山竜樹選手は粘り強かったことが評価されています。SNSでは「こんな汚いプレーは見たことがない。あなたとジャッジに失望している」という主旨のコメントが多いように見えました。
傾向をまとめると、全体には双方を褒め称える、でも審判はおかしいよね、危ないし今後改善が必要だよね、永山竜樹選手の握手拒否、畳に居残りはダメだよね、という感じでしょうか。
審判・エリザベス・ゴンザレスの過去の誤審もフランシスコガルリゴス
エリザベス・ゴンザレス審判は、2023年の世界選手権・ドーハのフランシスコ・ガルリゴス選手と高藤直寿選手の試合でも物議を醸しました。
この試合では、ガルリゴスが本来肘以外には禁じられている立ち間接を肩にかけているように見えるようにかけ、高藤選手を投げる、という危険な技をかけたにもかかわらず、ゴンザレス審判は反則を取らず、ガルリゴスの一本勝ちを認めています。
エリザベスゴンザレスさんはメキシコ人で、37歳。
「待て」を出したことについて、既述の通り審判チームは間違いを認めています。
オリンピックを目指して何年も努力してきた人の試合です。経験が浅い、とか、勘違い、ではすみません。
厳正な処分が必要では。
まとめ
海外は審判は審判、選手は選手という見方なのかなと。
それでも、審判チームはエリザベスゴンザレス審判が「待て」を出したこと自体は認めています。その「待て」が間違いだろうがなんだろうが、その時「待て」は出たのです。
そしてフランシスコガルリゴス選手は「審判は絶対」「誰にとってもルールは同じだ」と言うなら、聞こえていようがいなかろうが「待て」を無視した時点で反則負けであることを自覚するべきです。
それでも本来責められるべきは、試合を主導できなかった審判です。
審判さえしっかりしていれば、フランシスコガルリゴス選手が勝つことはなかったわけですから。
以前から感じていましたが、日本古来の柔道と世界で戦う競技としての柔道は別物だということ。
フランシスコガルリゴス選手のSNSには日本語での非難コメントが殺到していますが、彼のコーチはその非難の意味が理解できないそう。
「待て」の後にも締め続られたことでの敗北、そして締め続けることの危険性、これらが理解できない相手と同じ競技はできないですよね。
武道の精神や正々堂々と戦う意味などを世界の人々に理解させるのは無理なんでしょう。
追記:フランシスコガルリゴスが謝罪
永山竜樹さんによると、フランシスコガルリゴス選手が会いに来て謝罪してくれたとのこと。
これはよい話です。
しかし、「待て」を言われても無視して技をかけ続けて1本にカウントされたという事実は変わっていません。
今後、「騒音で聞こえなかった」を理由に「待て」がスルーされることが増えたら、命に関わるのでは。
審判全員を再教育すべきでしょうね。
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